2018年4月9日月曜日

寛解と完治②

言うまでもなく医学は素人にとって難しい。臨床医や医学研究者は厳格に言葉を使う。前回書いた「寛解(かんかい)」と「完治」について9日、ガン切除の経験がある友人の臨床医から解説的なメールをもらったのでそのまま転載する。
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 医学用語はかなり難解なところがありますが、「寛解」という言葉は20年位前は、がん領域では、原則として血液のがんである白血病に使用していたように思います
 
私が専門とした消化器癌では、手術その他で局所的に癌が消失した場合は「一応治癒」しかし転移があるかどうかは不明ですから、5年間経過を見て、転移がなければ、「治癒」(完治)としたものでした。(つまり癌治療では5年生存率が重要視されました)

しかし、消化器癌でない乳癌であれば10年は経過を見た方がよいとの意見が主流で癌によって治癒判定をするための条件が少し違ったように思いました。
 
消化器癌はX線検査や内視鏡検査などにより局所の病変を正確に判断することができ、また多くが手術で肉眼的にも確認できましたので、「寛解」という言葉はほとんど必要なかったように思います。もし局所に癌細胞が少し残った場合で、その人が長期生存した時には、「担癌長期生存例」と表現しました。

 肝癌の場合にはどうかというと、すこしややこしい問題が生じます。腫瘍マーカーが正常になり、画像診断で癌陰影が消失したとしても、それが局所の「治癒」につながるかどうかが判定出来ないためです。Stage 3であれば癌細胞は残るだろうとの想定の下に、長生きしても「寛解」という言葉を使わず、「担癌長期生存例」の範疇に入れるのではないかと思います。(「寛解」という言葉を使用してもよいのではないかと内心は考えていますが・・・)

 貴兄の肝癌については私はほとんどわかりません。なぜなら、私の肝癌についての知識はB型またはC型肝炎からかなりの期間を経て(多くは肝硬変を経て)悪性化したものについてであり、貴兄のものがアルコール性のものであれば、血清肝炎由来のものよりも治療成績がよいと思うからです。

 肝癌ですから、治療方法は同じようなことを行いますが、貴兄の場合には「ガンと共に生きる」という可能性が大きいと推測しています。ただアルコールは絶対に止めることが条件になりますが・・・。

 化学療法は苦しいものです。でも貴兄の場合には希望をもって頑張ってくださることをこころより願っています。 「ガンと共に生きる」・・・これは心理的には大変なことですが、それを受け入れて活躍してくれることを祈っています。

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