2018年2月8日木曜日

医療コンプレックス

ぼくのガン対応の病院について少しだけ書いておきたい。もっとも最近、総合病院を訪ねた人ならご存知のことであるが。
大阪のターミナルから急行で30分の郊外。駅からバスで20分ほどの丘の上に聳え立つ。どうしてこんな辺鄙な場所に巨大な総合医療コンプレックスを建てたのか。1983年と礎石にあったからすでに35年経っている。近々、近くに新しい病院を建て、引っ越すことになっているそうだ。
2月7日と8日は精密検査の日。ぼくの身体の内部情報を採取するための検査だ。
7日は骨にガンが発生していないかどうかという検査。アイソトープを注射して、2時間後にRI検査を行う。骨に付着したアイソトープが光るのだそうだ。それでガン発生かどうかが分かる。結果は骨には転移していない。
8日は心電図と心臓・血管の超音波検査。いずれもぼくの体内の情報を確認するための検査で、予定とおりそれぞれ30分くらいで終わった。

それにしてもこの病院は巨大な医療コンプレックス。全てネットワーク化されていてコンピューター管理が徹底している。採血、レントゲン、超音波、心電図、CTスキャン、MRI・・・各セクションに専門の検査技師がいて、被験者や患者は自分が受ける検査部へ行く。そこで受けた検査結果はコンピューター・ネットワークを通じて担当医師に送られる。
ちなみに患者はリストバンド(腕輪)を嵌められ、そのバンドにバーコードがプリントされていて、患者の情報が入っている。看護師は、スーパーのレジでよく見るハンディな読み取り機で「ピッ!」とバーコードを読み取るだけ。検査に当たって患者や被験者の取り違えを避けるために看護師や検査技師に氏名と誕生日を訊かれる。いちいち面倒くさいがやむを得ない。

院内に入るとまず診察券を受け付ける機器にカードを入れる。自動的にその日のぼくの患者番号をくれる。今日は早めに来たからか「755」。受け付けは5秒ほどで済む。
治験を扱う1階の窓口に行って、愛想のいい治験コーディネーターに会う。そこから検査へのスケジュールが始まる。
心電図は男性だったが、超音波も検査技師は若い女性。コーディネーターも女性。患者様様、ニコニコ愛想がいい。話す時は床に膝まづいく。ナイトクラブの女性を想い出す。ぼくが抱いていた昔の病院の暗い悲惨なイメージはない。
検査は予約制だから予約時間に廊下で待っていると時間ぴったりに検査室に入る。タイミングを外すといろんな不都合が起きてくるだろう。ここではすでにコンピューター社会が実現している。ネットワークの下、患者は完全に病院の管理下に置かれる。1分1秒、コンピューター管理となっているから慣れない高齢者の患者は大変だ。

もっともそうした人のためにコンシェルジェのデスクがあり総合案内でいろいろ教えてくれる。
コーディネーターに尋ねたらベッドは1000床くらいだという。(後日、調べてみよう)
言うまでもなくぼくらの若いころ当たり前だったクレゾールの匂いなど一切しない。
巨大な医療システム、診断、治療、リハビリ、研究、治験などが一斉に動き出す。それが現代の総合病院の素顔である。
超音波室の前の椅子で待っていると壁のポスターが目に付いた。

最先端のがん早期診断システム がんは早期発見が大事です。PET/CT検査を受けてみませんか>

呼びかけには納得だが今やすでに遅し。ガンは「レベル4」と宣告された。末期ガンであるが、後日、主治医は「レベル3」に下げてもいいか、と。どっちなの?
肝臓ガンで実績を上げている高名な医師と面談、ぼくのデータはガン適用患者として治験患者として合格だという。
2月14日から治験治療が始まる。日本では最先端の対ガン技術と目覚ましい成果が実現している新薬だそうだ。当分、大阪通いが続く。新幹線車内で食べた弁当は意外と美味しかった。学生を前にして近代戦争史について語っていた日本大学国際関係学部が見える三島駅を猛スピードで通過した。


2 件のコメント:

  1. 骨に転移がなくて、よかったですね。
    最先端の技術と新薬による治療、興味深く見守らせていただきます。

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  2. このコメントは投稿者によって削除されました。

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