2018年3月19日月曜日

副作用という伏兵②

前回書いたジャーナリスト・原寿雄さんの死を思うとき、いま、集中的にメディアと国会で議論されてる森友学園問題をどう論評するだろう。少なくとも火付け役だった『朝日新聞』の健闘には敬意を表すると思う。「朝日がんばれ」のデモが築地の本社前で行われたというから潮目が変わったことは事実と言えよう。

苦しいのは麻生太郎財務大臣、安倍晋三総理。政権末期とはこんなものだろう。安倍の大叔父・佐藤栄作(第61・62・63代首相、安倍首相の祖父、岸信介・第56・57代首相の実弟)退陣の瞬間を想い出す。マスコミが長期政権を批判して大合唱で退陣を迫った。ついに佐藤は退陣の記者会見を開いたが、「ぼくはウソを書く新聞は大嫌いだ」と苦々しく語りぎょろり目を剝いて記者たちを睨んだ。

記者席から「新聞はうそを書く」という現職総理のコメントに抗議の発言があった。佐藤は謝罪しない。「気に入らなかったら出ていけ」とまで言った。冗談じゃあない、と内閣記者会の政治部の記者全員が立ち上がり、出て行った。ポツンと独り残された佐藤はNHKのカメラに向かって退陣の理由などを語った。権力にしがみ付いていた総理の末期の姿。もちろん日本の憲政史上初の珍事だった。1972年7月7日、佐藤の在任期間は7年8か月2,798日。

さて、安倍の退陣はどんな光景になるのか。今から楽しみだ。共同通信、毎日新聞など世論調査で支持率が不支持率を下回った。安倍政権にイエローカードである。これで安倍3選は消えた、と見てもいいか。それにしても安倍昭恵総理夫人とは強か(したたか)なのか、たんなる無知蒙昧か、厚顔なのか。今も講演を続けている。

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前回に続いてガンの副作用について主治医からメールが届いた。ちょっと専門的になるが状況がよく分かるので本人の了解を得て、転載する。

抗がん剤はその効果よりは身体を痛めつけ、全身状態を悪化させるから、辞めておいた方がよい。そんな意見がどうどうと成されている。確かに、今までの化学療法は奏効率50%以下でも、治療前に効果があるかどうかは治療してみないと分からない範疇であった。

副作用も人それぞれで、その強弱も実際に投与して初めて分かる代物だ。だから、抗がん剤は不要で、がん治療は身体を弱らせ寿命を縮めているというセオリーになる。これをすべてのがんとするから始末に負えない。


がんも最初から大きく、あちこちに転移して暴れている訳ではない。小さいものから徐々に大きくなっていくということは小学生でも知っている。それでは小さながん、すなわち早期がんと大きくなって進んだがん、進行がんでどのような差があるのだろうか。癌の種類によるが早期がんで切除した場合10年生存率95%もあれば50%もあるし、30%もある。この見極めがポイントである。それではその情報は何処にあるのか。がん登録をして日本の各種がんの早期から進行がんの10年相対生存率が国立がんセンターや対がん協会から次々と発表されている。


北さんの肝臓がんはその中であまり成績の良くない部類であるのも事実だ。北さんの肝臓がんのステージだと通常、5年生存率は16%から14%と膵臓癌と似たりよったりである。しかし、このデーターは10年前に診断を受けた人たちの成績であることに注目しなければならない。


今回の免疫チェックポイント阻害剤と分子標的治療薬は今までの化学療法のコンセプトとは全く異なった作用機序で、実際、その奏効率は60%以上期待される。となると、北さん、腫瘍マーカーは確実に低下している。CT検査はまだだが、期待が寄せられる。


がんに対しては効果はある、しかし、副作用は本人の予想以上に厳しいらしい、あるいは予想だにしなかったかもしれないようだ。こればかりは経験者でないとものが言えない。副作用を和らげる薬となると、またまた薬の量と種類が多くなる。どうする、辞めてしまうのか。


辞めないよね、北さん。口内炎は経験者でないと言えない。食欲不振も経験者しか言えない。どうしてあげれば良いか、私もお手上げです。その一つ一つの症状を和らげるであろう薬を処方しても所詮、気休めです。口の中が荒れて、そして味がなくなり、食欲が全くないなどの生活の質は落ちても、死んでたまるかのジャーナリストスピリッツを鼓舞するような文章で応援するしかないかな。

平成30年3月19日

1 件のコメント:

  1. 主治医の素晴らしい診断だ。ここまで書いてくれるなかなかいないだろう。腫瘍マーカーの値が下がっているというのも勇気づけてくれる。癌治療は日進月歩だから10年前の統計はもはや通用しない。抗癌剤が苦しいのはよく分かるが、癌細胞との我慢比べだと考えれば、ここは我慢するしかないような気がする。

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