2018年3月30日金曜日

抗ガン剤投与一時休止②

抗ガン剤投与、一時休止という主治医の指示で、副作用に苦しんでいたぼくもようやく「少しは楽になれるかな」という期待感が湧いてきた。夕刻、新幹線で一気に名古屋から小田原にノンストップで突っ走る列車が1本だけある。18時16分新大阪発「ひかり532」号。小田原着が20時36分。東海道在来線に乗り換えて茅ヶ崎に着きタクシーで帰ると21時をとっくに過ぎていた。

疲れたなあ。考えれば当たり前か。早朝、病院に着き、終日、院内で検査や採血、採尿、診断、点滴が続き、心電図をとってコーディネーターとの打合せが終わると16時を過ぎていた。

診察の時、主治医はぼくの訴えに「そうですか。ちょっと副作用が厳しいなあ。少し休みますか…」とこれまでの抗ガン剤投与をストップすることを決めてくれた。その際、主治医は「QOL(Quality Of Life)も大事だからね」と言った。現代の医学では単に「救命」だけではなく患者の生活の質を悪化させない配慮も治療のうちだと考えるようになった。以前では考えられない進化と言えるだろう。

翌29日朝、喉のかすれがずいぶん楽になった。食欲はあまりないが、無理にサンドイッチを牛乳で流し込む。それでも全部は食べられない。抗ガン剤を飲まなくていいから少し気分に余裕がでてきた。唇の荒れは未だ続いている。

アメリカで知り合った同年の友人と新宿で会う。彼は3年前、膀胱ガンの手術を受け、退院したが、その後、肺に転位して抗ガン剤を飲んだ。副作用の激しさはぼくよりもっと厳しかったようだ。食欲がない、という状態がどんなふうか、熟知している。
「分かるよ、北さん。でもしょうがないよ」

お互い「ガン・サバイバー」だ。抗ガン剤の副作用に耐えることがガン患者に与えられた宿命である。やはり当初、「ガンと生きる」とこのブログのテーマを決めたことは間違っていなかった。ぼくはいま、体内にガンを抱きながら生きている。

抗ガン剤投与を止めて3日目。3月30日、ようやく効果が出てきた。朝から気分がいい。喉のカスレもかなり良くなった。茅ヶ崎の病院で医師の解説を受け、「ガン患者」という存在の実態が分かってきた。

昼食を食べた。500円の北海道丼。数の子、鮭、カニ、イクラなどを酢飯に乗せた海鮮丼。「美味しい」とまでは言わないが、食べられるだけでもマシ。明日が楽しみだ。
どうやら桜の満開に間にあった。北の丸公園の桜が今年も観ることが出来そう。

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